登録有形文化財の温泉旅館8軒|泊まれる木造建築

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文化財の旅館に泊まってみたいけれど、古い建物は不便だと聞きます。階段や音、お風呂のことを、先に知っておきたいです。

管理人

8軒の建物の来歴と、不便な点を宿ごとに書きました。登録有形文化財になっているのが、建物のどの部分かも分けています。

泊まれる旅館のなかにも、国の登録有形文化財として、本館や浴場、広間が登録を受けた宿があります。

この記事の8軒は、鳴子・渋・四万の温泉街から、城崎、修善寺、下呂、奥津、松之山まで。登録の対象が本館なのか、広間だけなのかは宿ごとに違うので、建物の話と一緒に書きました。

※この記事は、各宿の公式サイトの案内と、楽天トラベル・じゃらん・一休の掲載情報をもとにしています(26年10月時点)。運営者が泊まった体験ではありません。料金や空室、工事の日程は、予約ページと各宿の案内でご確認ください。

この記事でわかること
  • 8軒で、登録有形文化財になっている建物の部分
  • 階段・音・客室に風呂のない部屋など、古い建物の付き合い方
  • 建物の話を宿で聞ける宿と、冬の備えが要る宿
目次

序章|登録有形文化財の温泉旅館、泊まれる木造建築を8軒

登録の対象は、宿によってこれだけ違います。

8軒の登録の対象
  • ゆさや旅館(鳴子):本館と土蔵など5カ所9件(2000年)
  • 金具屋(渋):斉月楼と大広間(2003年)
  • 積善館(四万):昭和11年築の山荘。本館は群馬県の重要文化財
  • 西村屋本館(城崎):朝食会場の「泉霊の間」
  • 新井旅館(修善寺):15棟(平成10年)
  • 湯之島館(下呂):本館と渡り廊下、玄関(平成22年)
  • 奥津荘(奥津):昭和2年築の旅館
  • 凌雲閣(松之山):昭和13年建築の本館

文化財の建物は、現代のホテルのようには動けません。階段、軋む廊下、部屋にない風呂。その代わりに、梁や柱、広間の天井が、泊まる夜の背景になります。

第一章|登録有形文化財の温泉街、鳴子・渋・四万の木造の宿

石畳や湯の町の中に、木造の本館が建つ宿が3軒あります。

ゆさや旅館|十二間半の一本梁と、90.2度のうなぎ湯

鳴子温泉の湯元に建つゆさや旅館は、JR鳴子温泉駅から徒歩4分。木造2階建ての本館は昭和11年の改築で、2000年10月に本館と土蔵など5カ所9件が登録有形文化財になりました。表側の梁は、端から端まで十二間半の一本丸太。ロビーの近くの柱は、太い栗材です。

内湯のうなぎ湯は、地下65メートルから90.2℃で湧く含硫黄−ナトリウム−硫酸塩・塩化物泉。公式の表示では、加水は浴槽水の入れ替え時だけで、加温・循環・入浴剤はありません。食事は月替りの山里料理で、個人客は部屋でいただきます。

選ぶ前に:客室14室のうち12室はバス・トイレがなく、門限は23時です。貸切露天の茜の湯は、熊の出没を踏まえて当面休止中(公式、26年9月21日更新)。日帰り入浴は終了しています。

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金具屋|木造四階建ての斉月楼と、夕方の文化財巡り

石畳の渋温泉に建つ「歴史の宿 金具屋」は、昭和11年に完成した木造四階建て。斉月楼と大広間が、2003年に登録有形文化財になりました。宿泊者は、毎日夕方の「金具屋文化財巡り」(約40分)で、建築と歴史を聞きながら館内を歩けます。

湯は館内に8つ。大浴場3つと、無料で予約のいらない貸切風呂5つがあり、4つの自家源泉を使います。公式サイトは「源泉100%かけ流し」と案内しますが、鎌倉風呂だけは渋温泉の共同の引き湯です。渋温泉の外湯9つにも、宿泊者は無料で入れます。

選ぶ前に:階段、段差、斜面が多く、車いすでの移動はほぼ不可能です。木造なので音が響きやすいと、宿自身が書いています。駐車場は宿から離れた屋外に30台、チェックイン以降は送迎車が巡回します。日帰り入浴はできません。

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積善館|昭和11年築の山荘と、元禄4年の湯治の本館

四万温泉の積善館は、本館・山荘・佳松亭の3棟が山の斜面に並びます。登録有形文化財は昭和11年築の山荘で、部屋ごとに柄の違う組子障子が見どころです。元禄4年(1691年)建築の本館は、群馬県の重要文化財。湯治の暮らしをそのまま使う棟です。

昭和5年築の浴場「元禄の湯」には、石の湯船が5つ並び、湯は底から湧きます。本館は共同のバス・トイレと弁当形式の食事、山荘はラウンジでの会席料理と、棟によって滞在の性格が分かれます。

選ぶ前に:佳松亭は客室の改装工事中(26年9月15日から12月下旬の予定)で、中庭の露天大浴場と貸切風呂の新設工事は27年5月までの予定です。本館は木造で音が響き、エレベーターがありません。泊まれる部屋は予約ページで。

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第二章|登録有形文化財の庭と数寄屋、城崎・修善寺・下呂

建物の外にも見どころが広がる宿が、3軒あります。庭を囲む客室、檜の大浴堂、山の中腹の洋館です。

西村屋本館|100畳の泉霊の間と、庭を囲む客室

城崎温泉の中ほどにある西村屋本館は、江戸時代の安政年間の創業。登録有形文化財は、朝食会場の100畳の広間「泉霊の間」です。大正14年に北但大震災からの復興の証として建てられ、桐の格天井が張られています。入口の横の厨房で、料理人の仕事を見ながら朝食をとります。

客室は庭を囲む配置で、全29室(公式)。別棟の平田館は、昭和35年に数寄屋建築の巨匠・平田雅哉が手がけました。大浴場は、檜の吉の湯、円形の福の湯、平田館の庭を望む尚の湯の3つ。冬は活の松葉かにが、11月初めから3月末まで夕食に並びます。

選ぶ前に:宿泊は10歳以上に限られます。駅から徒歩約15分で、送迎バスは事前の連絡が必要です。貸切の露天風呂は姉妹館にあり、有料の電話予約です。平田館の観月と本館の本陣は、部屋までに階段があります。

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新井旅館|15棟が登録文化財、天平大浴堂に入る宿

修善寺温泉の新井旅館は、明治5年(1872年)の開業。平成10年に15棟が国の登録有形文化財になりました。明治14年建築の青州楼、昭和9年築の天平大浴堂、観音堂などが含まれます。宿泊者は、10時と16時にロビーに集まる無料のガイドツアー(15〜20分)で、建物の話を聞けます。

天平大浴堂は、台湾から運んだ檜の芯去り材を使った総檜造りです。文化財の風呂に、そのまま入ります。泉質はアルカリ性単純泉で、宿はすべての浴場が源泉掛け流しと案内していますが、季節により湯温が高いときは、一時的に加水します。

選ぶ前に:ロビーから客室、客室から大浴場の間に、必ず段差か階段があります。修善寺温泉は組合の規定で送迎がなく、バスかタクシーで来ます。19時以降に着くと夕食が出ません(楽天トラベルの条件)。

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湯之島館|山の中腹の数寄屋造り、本館に風呂のない部屋

下呂温泉の湯之島館は、昭和6年11月の開業。本館と渡り廊下、玄関が、平成22年に登録有形文化財になりました。本館は3階建ての数寄屋造りで、敷地は5万坪。娯楽館は半木造半鉄筋コンクリートの洋館で、ダンスホールと家族湯があります。

湯は、源泉名「下呂温泉」のアルカリ性単純温泉(pH8.90)。山の中腹の展望大浴場「山渓之湯」「飛山之湯」で入ります。本館の客室に風呂はありません。風呂付きの客室は、別館の一部だけです。JR下呂駅から宿までは、無料のシャトルバスがあります。

選ぶ前に:食物アレルギーは宿泊日の3日前までに電話で伝えます。出汁は鰹と鯖が軸で、変更できません。シャトルバスの最新の時刻は、宿に電話で。加温・加水・循環の有無も、予約の前に宿へたずねます。

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第三章|登録有形文化財の川と雪、奥津荘と凌雲閣

最後の2軒は、川の音と雪が近い宿です。着くまでの足と、冬の備えが旅の一部になります。

奥津荘|昭和2年築の全8室と、川底から湧く鍵湯

岡山県鏡野町の奥津温泉にある奥津荘は、昭和2年築で国の登録有形文化財。2026年9月13日の公式のお知らせは、創業100周年の節目と書いています。客室は全8室です。

鍵湯と立湯の足元は、吉井川の川底と一枚岩でつながっています。湯はアルカリ性単純泉(pH9.3、泉温42.6℃)で、毎分247Lが自噴します。公式サイトは加水・加温・循環がないと書く一方、浴槽が泉源の上にある造りのため「いわゆる源泉かけ流しとは異なる」と断っています。離れの2室には、露天風呂が付きます。

選ぶ前に:泊まれる年齢は、公式が12歳以上、楽天トラベルが中学生以上です。公式は、2027年3月から春・夏・冬休みに限り3歳以上の子連れを受け入れると書いています。津山駅からバスで約60分、本数は少なめです。鍵湯と立湯の底は、ごつごつしています。

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凌雲閣|昭和13年の本館と、雪の松之山へ1日1便の送迎

新潟県十日町市の越後松之山温泉 凌雲閣は、昭和13年建築の本館が登録有形文化財(じゃらん)。客室は17室で、本館はトイレと洗面が共用です。別館の雪椿・まんさく・すみれには、客室にトイレ・洗面・バスがあります。

大浴場は自家源泉「鏡の湯」、貸切の家族風呂は温泉街の源泉「鷹の湯」で、露天風呂はありません。湯の扱いは、じゃらんが加温で循環器を使うと書き、一休は「かけ流しなし(加温)」。家族風呂は源泉かけ流しです。

雪の季節は、まつだい駅からの送迎が頼りです。便は15時21分発の1日1便で、事前予約制。楽天トラベルは、12月から4月まで積雪の可能性があるので、スタッドレスタイヤかチェーンを必ず備えてほしいと書いています。

選ぶ前に:バリアフリーには対応していません(楽天トラベル)。ペットは泊まれません。送迎の時刻は、配車の都合で変わる場合があります。

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終章|登録有形文化財の旅館、建物の話で選ぶ8軒

建物の話を宿で聞くのか、庭を眺めるのか、雪の道を越えるのか。8軒の目安を並べます。

迷ったら

城崎なら城崎温泉の旅館7軒、木造の宿が並ぶ温泉街を歩くなら銀山温泉の旅館5軒にも書きました。県ごとの宿は宮城、静岡、岡山のまとめからも選べます。

選ぶ前に|登録有形文化財の8軒、階段・客室の風呂・湯の表示

古い建物の宿は、泊まる前に確かめる点が似ています。8軒の違いを表にしました。内容は26年10月時点です。

スクロールできます
宿先に確かめること
ゆさや旅館12室がバス・トイレなし。門限23時。貸切露天は休止中
金具屋階段・斜面が多く車いすはほぼ不可。音が響く。日帰り入浴不可
積善館佳松亭は改装中、露天大浴場は工事中。本館はエレベーターなし
西村屋本館10歳以上のみ。貸切露天は姉妹館。一部の部屋まで階段
新井旅館必ず段差か階段がある。送迎なし。19時以降は夕食なし
湯之島館本館の客室に風呂なし。アレルギーは3日前までに電話
奥津荘12歳以上(中学生以上の表記も)。津山駅からバス約60分
凌雲閣露天風呂なし。送迎は1日1便。バリアフリー非対応
  • 湯の表示:金具屋、新井旅館、奥津荘、凌雲閣は、源泉かけ流しの表示に加水・加温・引き湯の但し書きがあります。気になる人は宿へ
  • 客室の風呂:本館に風呂のない宿が多く、風呂付きは別館や離れ(湯之島館、凌雲閣、奥津荘)に限られます
  • 音:木造の宿は足音や話し声が響きやすいと、金具屋と積善館の本館が案内しています

よくある質問|登録有形文化財の旅館、階段・見学・子ども連れ

泊まる前に気になりそうなことを、8軒の掲載から拾いました。

登録有形文化財の旅館に、泊まれますか?

泊まれます。この記事の8軒は、建物が国の登録有形文化財で、旅館として営業しています。積善館は、登録有形文化財が山荘で、本館は群馬県の重要文化財です。

登録有形文化財の旅館は、階段や段差が多いですか?

多い宿が目立ちます。金具屋は車いすでの移動がほぼ不可能で、新井旅館は必ず段差か階段があります。積善館の山荘と佳松亭にはエレベーターがあります。奥津荘は、1階の2室が足元に不安がある人向けです。

文化財の旅館で、客室に風呂がある部屋はありますか?

あります。湯之島館は別館の一部、凌雲閣は別館、奥津荘は離れの2室に露天風呂が付きます。ゆさや旅館は14室のうち12室がバス・トイレなしです。

建物の見学ツアーがある旅館はありますか?

金具屋は、宿泊者向けの「文化財巡り」が毎日夕方にあります(約40分)。新井旅館は、10時と16時に宿泊者向けのガイドツアーがあり、所要は15〜20分です。案内のない日もあるので、来館時に確かめます。

文化財の旅館は、日帰り入浴ができますか?

ゆさや旅館の日帰り入浴は、平成23年3月31日で終了しています。金具屋も、日帰り入浴や夕食だけの利用を受けていません。

文化財の旅館に、子ども連れで泊まれますか?

宿によって年齢の条件があります。西村屋本館は10歳以上、奥津荘は12歳以上です(公式。楽天トラベルは中学生以上)。凌雲閣は一休に「お子様可」の表示があり、3歳以上の未就学児は食事ありを選ぶ決まりです。

雪の季節に、車で行ける文化財の旅館はありますか?

凌雲閣は、12月から4月まで積雪の可能性があり、スタッドレスタイヤかチェーンが必須です。駅からは、まつだい駅発15時21分の送迎が1日1便あります(事前予約制)。

参考資料

各宿の公式サイト/楽天トラベル・じゃらん・一休の各施設ページ/鳴子・渋・四万・城崎・修善寺・下呂・奥津・松之山の各宿の案内

物語で読んでみたい温泉旅館があれば、お問い合わせから宿名を教えてください。公式サイト・楽天トラベル・じゃらんで確かめられる宿だけを書くので、必ずお書きできるとは限りません。一棟貸しや休業中の宿も対象外です。

紹介をご希望の旅館さまも、同じお問い合わせからどうぞ。掲載は無料です。内容は公式サイトと予約サイトで確かめられる事実だけで書き、宿泊や料金をいただいて書くことはしません。将来そうする場合は、記事に「PR」と明記します。情報の誤りのご連絡も、こちらで受け付けています。

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